山田どうそんです。
この記事では、DeFi(ディファイ)についての基本を詳しく解説します。
DeFiの誕生は世の中を大きく革新するほどの新しいシステムです。
暗号資産を理解する上で、DeFiへの理解は欠かすことができません。
DeFiを理解することで、暗号資産の世界で今行われているさまざまな変革の輪郭を掴むことができるようになります。
DeFiとは?
DeFiとは「Decentralized Finance」の略で分散型金融や分散型ファイナンスと言われています。
もっと簡単に説明すると、銀行を介さずにブロックチェーンテクノロジーを使用して構築される金融アプリケーションのエコシステムのことです。
つまり、銀行業務を無人でブロックチェーンが自動でやってくれるシステムのことを「DeFi」と思ってもらえるとわかりやすいと思います。
ちなみに、エコシステムというのは、生態系という意味ですが、これをIT業界で利用する場合は、製品の連携やつながりによって成り立つ全体の大きなシステムを形成することを意味しています。
もっとわかりやすく言うと、それらに付随する全ての関連しているシステム全体のことです。
例えば、Appleのエコシステムは、MacBook、iMac、iPhone、iCloud、Apple Watchです。
ブロックチェーン上に作られた金融アプリケーションのエコシステムのことをDeFiと言うと思ってもらえるとわかりやすいと思います。
DeFiの特徴
DeFiには大きく次の4つの特徴があります。
Non-Custodial(管理者が不在)
Open(開かれている)
Transparent(透明性)
Decentralized(分散性)
それでは、特徴をわかりやすく簡単に説明していきたいと思います。
1.Non-Custodial(管理者が不在)
DeFiを理解する上で最もわかりやすい例えは「Apple」などの中央集権の組織です。
AppleはMacというPCを作成していますよね?
そのOS(オペレーティング・システム)は基本的にMacでのみ使えるOSが利用されています。
さらに、MacのOS上のみで利用できるアプリを他の会社が開発しています。
AdobeのソフトもMacのOS上で利用できますし、ScreenflowなどのソフトもMacのOS上で利用できます。
このとき、MacというPCの中で利用されているOSの「管理者」は誰でしょうか?
そうです。
Apple社ですよね。
Windowsも同じです。
マイクロソフトが管理者として存在しています。
ブロックチェーンができるまでは、このように必ず何かしらのサービスを提供するときに、中央集権的な管理者が必要でした。
しかし、ブロックチェーンができてから、必ずしもこのような中央集権的な組織が存在しなくても、サービスを提供できるようになりました。
この技術を金融の世界に導入している考え方がDeFiと思ってもらえるとわかりやすいと思います。
2.Open(開かれている)
次のDeFiの重要な特徴の一つにOpen性があります。
これを一言でいうと
「許可を必要とせずに誰でも利用できる」
という意味です。
これを「Permissionless(パーミッションレス)」と言います。
ここが、これまでの既存の金融システムではあり得なかった部分です。
金融の世界の代表的なサービスに、銀行や証券会社がありますよね。
銀行口座を作る場合も、証券口座を作る場合も必ず身分証明書を提示して自分の存在を明らかにする必要があります。
これをしないと、口座自体を作ることができませんよね?
でも、DeFiではそもそも管理者がいませんから、誰の許可を得る必要もなく利用することができます。
そういった意味では、誰でも平等に利用できますから、公平性があると言えます。
ただしデメリットもあります。
誰でも利用できるということは、マネーロンダリングなどのような悪質な用途として利用される可能性があるということです。
平等、公平性というメリットの反面、悪用されるというデメリットがあるので今現在は、この部分が大きな議論の中心になっています。
3.Transparent(透明性)
次は、透明性です。
これは、ブロックチェーン技術を利用していることですべての情報が誰でも閲覧できるようになっています。
どのウォレットにどのぐらいの資金が移動したのか?
どのウォレットにどのぐらいの資金が保存されているのか?
あらゆるデータがブロックチェーン上で可視化されています。
ただしこれは個人情報が丸わかりという意味ではありません。
あくまでも、ウォレットのデータを見ることができるということであって、どこの誰がいくら所有しているかということがわかるわけではないということです。
具体的に言うと、ウォレットのアドレスのデータが公開されているということです。
そのため、嘘をつくことができないのです。
ブロックチェーンであらゆる資金の流れが可視化されますから、どのウォレットアドレスにどのぐらいの資金があるというのを偽ることができません。
この信頼、信用がDeFiサービスの重要なポイントになっています。
どこかの組織や誰か特定の人が情報を管理するのではなく、オープンの場で誰でもその情報を閲覧できるという信用があるからリスクはあっても、そこに資金を投資できると言えます。
4.Decentralized(分散性)
最後は、分散性です。
これも、DeFiの特徴としてとても重要な要素です。
DeFiというのは、Apple社のようにどこか特定の組織がデータを管理するものではないということをお伝えしました。
これはつまり、ブロックチェーンで情報を分散して保存しているという考え方です。(技術的な話はなしでわかりやすく説明しています。)
これによって、例えばどこかの情報が仮になくなったとしても、他のどこかにその情報があるので、そこからデータを持ってくることができますよね。
日本ヒューレット・パッカードが、京都大学のスパコンのデータ約77TB分を間違って消失してしまったという事件はご存知ですか?
京大スパコンのデータ77TBが消失 バックアップ処理中に不具合 日本ヒューレット・パッカード「100%弊社の責任」
これは、HP社という中央集権のサーバーにデータが一元管理されていたことで起きた事件です。
バックアップ処理の不具合で貴重な研究データの一部が完全に消失してしまいました。
このように中央集権にすべてのデータを依存しているとこのような場合に二度と復元ができなくなります。
僕らが普段利用しているTwitter、YouTube、Facebookもすべて中央集権です。
このようにすべてのデータが特定の組織に保存されていることで、そのデータがなくなった場合、もしくは意図的に削除された場合もどうすることもできなくなってしまいます。
このようなことが起きないように、情報を分散して管理するという考え方が、DeFiの考え方だと思ってもらえるとわかりやすいと思います。
DeFiが注目される理由
ここまで、DeFiの特徴を簡単に説明しました。
なんとなく、DeFiというものがどういうものなのか理解できたと思います。
では、このDeFiという考え方は、なぜ大きな注目を集めているのでしょうか?
もちろん、上げたらきりがないほど多くの理由がありますが、その中でも特に大きな理由は、
「誰からも支配されない公平性」
です。
日本に住んでいる僕らはあまりピンと来ないかもしれませんが、世界では日本とは比べ物にならないほどの貧富の差があります。
unbanked(ノンバンクド)と言って、銀行口座を持てない人が世界中にはたくさんいます。
そんな中で、DeFiは、管理者が不在で、誰でも利用することができる金融サービスです。
スマホ1台あれば、誰でも利用することができます。
そのため、個人情報を明かしたくない人や明かせない人でも利用して送金したり収益を得たりすることができます。
世界の歴史を学ぶとわかりますが、未だにこの世の中は、持てるものが持たざるものから搾取してなりたっている社会システムになっています。
そんな中で、DeFiの考え方は、持たざるものでも富を得られる可能性を秘めたシステムといえます。
もちろん、現状はセキュリティの問題やマネーロンダリングの問題など課題は山積みで、手放しで喜べるほど成熟しているとは言えません。
この記事を書いている2022年の現時点では、まだまだリスクだらけです。
ですが、未来の大きな変革の可能性として期待できるシステムだといます。
このDeFiが一般の商用に耐えうるようになるまで、まだまだ何年もかかると思います。
ですが、その可能性の種はしっかりと育ち始めています。
最後に
ということで、この記事ではDeFiの超基本を誰でもわかるように簡単に解説しました。もちろん、DeFiの領域はこんなに浅い話ではなく、もっともっと奥の深い領域です。
とはいえ、なんとなくは「こんな感じ」というのは、ご理解いただけたのではないでしょうか?
また、今後も、このように、難しいことをなるべくわかりやすく解説していきたいと思います。